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海外法人設立の完全ガイド| メリット・デメリットや登記取得の手順を解説!

2025年7月28日

海外法人設立

海外進出を検討するにあたり、海外法人設立の手続きは重要なステップです。一方で、国によって手続きの方法が異なるので、滞りなく行えるか不安に感じる人も多いでしょう。

本記事では、海外に会社を作るメリット・デメリットや海外で法人を設立するための手順について徹底解説します。また、海外法人設立におすすめな国も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

海外法人とは

海外法人とは、日本企業の海外拠点のことを指します。海外法人の種類は、子会社(現地法人)、海外支店、駐在員事務所の3つの形態があり、事業内容や目的によっていずれかの進出形態を選択することになります。

海外法人と似た言葉に「オフショア法人」がありますが、オフショア法人とは登記した国以外で事業を行い、収益を上げる法人のことです。

日本で会社を設立するのと同様に、定款の提出や登記の申請などの会社設立の手続きが必要になります。

海外法人の種類

海外法人設立における代表的な3つの形態は、海外子会社(現地法人)、海外支店、駐在員事務所です。それぞれの特徴について解説します。

海外子会社(現地法人)

現地法人は、海外法人の中でも最も自由度の高い進出形態です。子会社として、親会社(日本本社)とは独立した別の会社になるので、進出国での賃金体系や税制度が適用されます。そのため、現地法人は節税のメリットや人件費などのコストを抑えたいと考える企業におすすめな進出形態です。

一方で、登記手続きは煩雑になりやすく、現地の規制に対応する必要があるので、自社での設立手続きは難しく、法人設立代行会社を利用することが一般的です。

現地に根付いた経営を行っていく場合は、現地法人が最も有力な選択肢になります。

海外支店

海外支店は、日本本社の支店として海外に拠点を置く進出形態です。日本の法人になるので、税制度や法制度は日本のものが適用されます。そのため、節税効果やコスト削減のメリットはあまり期待できません。

一方で、設立手続きの手間やコストは海外子会社よりもかからず、現地での営業活動も問題なく行えるため、スモールスタートで進めたい場合は選択肢に入るでしょう。

駐在員事務所

駐在員事務所は、海外法人の中でも最も小規模な進出形態です。営業活動が禁止されていたりと制限が多く、海外での事業展開には向いていません。一般的に、市場調査や情報収集など海外進出を準備するフェーズで利用される進出形態になります。

どの進出形態が適しているかは、事業内容や海外進出の目的によって異なります。どれを選んだらよいか悩む場合は、一度法人設立代行会社に確認してみるのがおすすめです。

海外に会社を作るメリット

海外に会社を作るメリットを3つ紹介します。進出形態で悩む場合は、3つのメリットの中で、自社では何を重要視するのかを意識すると検討しやすくなりますよ。

ローカライズした事業展開がしやすくなる

海外に拠点をおくことで、ローカライズした事業展開がしやすくなるメリットがあります。単純に自社の商品を海外で売るだけであれば海外法人を設立しなくても、アウトソーシングで対応できるケースもあります。ただし、日本で売れている商品であっても海外でのニーズは異なる場合も多く、進出国に合わせたローカライズが必要になることがほとんどです。

消費者の生の声を聞いて、商品/サービスの改善に活かしたりと、ビジネスのPDCAを回しやすくなります。

コストが抑えられる

海外に会社を設立することで、人件費や材料費のコストを抑えられるケースがあります。特に、東南アジアの国々は人件費や材料費を安く抑えられることが多く、日本企業の進出先として選ばれています。

また、店舗や事務所の賃料など固定費が抑えられる点も大きなメリットです。ただし、参入国によっては、今は安くても毎年人件費や賃料等が上がっているケースもあるので、上昇率も考慮して中長期的な計画を立てる必要があるでしょう。

節税対策になる

海外に会社を設立することで、節税対策になるケースがあります。特に、大きなコストとなる法人税は国によって税率が大きく異なります。そのため、日本よりも税率が低い国に進出することで、その分法人税を抑えられます。

また、フィリピンやカンボジアなど一部の国では、外資誘致のための経済特区が設けられています。法人税の免除や優遇税率が受けられるケースもあります。ただし、タックスヘイブン対策税制(租税回避を図る行為を排除する制度)が適用されて、追徴課税を受けるリスクもあるので、節税対策のメリットを得るには専門家に相談するのがおすすめです。

海外に会社を作るデメリット

海外に会社を作るデメリットを3つ紹介します。海外法人の設立には、注意すべき点もあるので、事前に確認しておきましょう。

カントリーリスクがある

海外に拠点を置くにあたり、考慮すべき点にカントリーリスクがあります。カントリーリスクとは、進出国の政情不安、経済危機、戦争、テロ、自然災害などによって引き起こされるリスクのことです。

カントリーリスクによって、利益が上がらなくなってしまうだけでなく、損失が出てしまう可能性もあります。防ぎようのない場合もありますが、進出を決める前にその国の歴史的背景や政治の状況などは深くリサーチすべきでしょう。

人材派遣のコストがかかる

日本から従業員を派遣する場合は、想定している以上にコストがかかることがあるので要注意です。海外駐在員には、赴任手当や住宅手当が出るのが一般的です。駐在員に家族がいる場合は、教育手当や家族手当を出すケースもあります。

また、最初のうちはスムーズな連携のために日本と進出先国をいったりきたりと出張費がかさむことも多いです。海外進出には余裕をもった予算を組んでおくことが重要です。

進出先の国に合わせた税務処理や人材育成が必要

現地に子会社を設立した場合は、現地の賃金体系や税制度、会計制度が適用されます。国ごとに仕組みが異なるので、慣れるまで時間やコストがかかるでしょう。

教育面でも、言語や文化が異なるので、これまで自社で行ってきた社内トレーニングでは対応できない場合があります。現地の言葉に翻訳しただけではニュアンスが伝わらないことも多く、現地の専門家を活用したり、その国独自のカリキュラムを作ったりなどの工夫が必要でしょう。

海外法人設立の手順

手順

会社の登記手続きは、1~2ヶ月程度かかるのが一般的です。海外市場調査などの事前準備や銀行口座開設などの設立後手続きを合わせると海外進出には少なくとも半年~1年の期間が必要になると言えます。

会社の登記手続きは、国によって異なりますが、今回は一例としてカンボジアの場合における登記手続きの手順について解説します。

カンボジアでの海外法人設立の手順

1.会社情報の決定

手続きを開始する前に、場所・形態・商号・業務内容等、定款の元となる情報を決め、必要書類、添付書類の準備を始めます。

2.商号の予約

商業省へ使用を希望する商号(会社名)の利用可否を問い合わせます。利用可能と通知された後は速やかに手続きを開始します。

3.登記住所を契約

登記にあたり、現地での住所が必要になるため、拠点となるオフィスを契約します。賃貸の場合はここから毎月の家賃が発生します。家賃には必ず毎月税金が発生するため、この時点から税金の取り扱いについて相談できる専⾨家を⾒つけておくと安心です。

4.登記申請

添付書類を揃え商業省に商業登記申請します。完了すると会社設立証明証、会社定款、社印などを受け取ることができます。

5.税務登録

租税総局で認証し、各種税務登録をします。顔写真の撮影や指紋の登録を⾏う必要があります。オフィス確認があるので備品も必要です。完了すると、納税番号の記載されたパテント証明書やIDカードを受け取ることができます。

6.法人銀⾏⼝座の開設

法人⼝座を開設し、租税総局に登録します。

7.労務登録

労働商業訓練省に事業所開設申告を⾏います。労働許可証が発⾏できるようになります。国家社会保障基金(NSSF)にも登録します。

8.ライセンス申請

業種によってはライセンス(免許)が必要となります。事業の内容や形態により監督省庁及び取得⼿続きが異なります。

1つの場所ですべての手続きが完了するのではなく、該当する各省庁での手続きが必要になります。自社で対応するのが大変な場合は、無理をせず専門家に相談しましょう。

よくある質問

海外法人設立後に日本で活動するのは可能?

海外法人を設立した後に日本で活動することは可能です。法人の代表者が現地にいないといけないという決まりはないので、自由に日本との行き来ができます。

ただし、節税のために海外法人を設立する場合は、タックスヘイブン対策税制(租税回避を図る行為を排除する制度)が適用される可能性があるので注意しましょう。

海外法人設立におすすめの国は?

2023年の外務省のデータによると、日本企業の海外進出先として多い国は、1位中国、2位アメリカ、3位タイ、4位インド、5位韓国となっています。

人件費の安さからこれまで日本企業の中国進出が多かった一方で、中国人の人件費があがったことにより、近年では東南アジアへの進出が増えています。おすすめの国は、事業内容や海外進出の目的によって異なるので、自社に合った進出先を探しましょう。

参考:外務省 海外進出日系企業拠点数調査

法人税が一番安い国はどこですか?

法人税が一番安い国はハンガリーと言われています。日本では約30%(実効税率)がかかるのに対し、ハンガリーの法人税率は約9%です。

他にも、法人税が安い国として有名なのは、アイルランドやアラブ首長国連邦(ドバイ)、シンガポールなどです。税率だけではなく、税制優遇や控除などの制度も確認するようにしましょう。

海外法人設立にかかる費用はいくら?

海外法人設立にかかる費用は、国によって大きく異なります。例えば、シンガポールの場合は約1,000万円、香港の場合は約200万円必要になると言われています。

会社を設立するのに必要な最低資本金が定められているケースもあり、巨額の金額が必要になることも少なくありません。補助金なども上手く活用して、資金面の準備も行いましょう。

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まとめ

今回は、海外に会社を作るメリット・デメリットや海外で法人を設立するための手順について解説しました。海外法人の進出形態には3つの種類があるので、自社に合った形で海外進出を進めましょう。

海外法人設立の手順は国によって異なるので、自社にノウハウがない場合は、現地専門家へのアウトソースも検討しましょう。

カンボジア進出を検討されている方は、リアグローバルの無料相談に問い合わせてみるのがおすすめです。海外法人の設立手続き代行はもちろん、事業進出の相談・アドバイスやライセンス取得サービスにも対応しています。ぜひお気軽にご相談ください。