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海外進出のメリット・デメリットとは?成功事例や進出の手順をプロが解説!
2025年7月1日

日本企業の海外進出や海外企業の日本進出など、グローバル化の動きが加速しています。海外進出は大きなマーケットを狙えるメリットがある一方で経営がうまくいかず撤退してしまう企業も多いので、慎重に検討していく必要があります。
今回は、日系企業の海外進出支援を手掛ける「リアグローバル」が海外進出のメリットとデメリットについてご紹介します。有名企業の成功事例や海外進出の手順についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
海外進出とは?
海外進出とは、企業が商品やサービスを海外に販路拡大するビジネス戦略のことです。海外に自社工場を建設し、海外生産を行うことも海外進出ということがあります。グローバル化や海外展開と言い換えられることもありますが同じ意味です。
海外進出は、大手企業が参入するイメージが強いかもしれませんが、最近では中小企業やベンチャーの海外進出が増えている傾向にあります。
日本企業が海外進出する理由
なぜ、近年海外進出する日本企業が増えているのか?その理由は主に以下の2つがあります。
・国内市場の競争激化により、新たな市場を求めている
・コスト削減の目的で、人件費や原材料費の安い生産拠点を求めている
日本は人口が減少傾向なこともあり、国内の市場が縮小している業種が多く存在します。人口が増加傾向にあり、消費者の購買能力が高い海外市場に活路を求めるのは自然な成り行きと言えるでしょう。特に、東南アジア諸国はマーケットの成長率や人件費・原材料費の安さから日本企業の海外進出先として高い人気があります。
海外進出のメリット
海外進出を検討するにあたってメリットとデメリットを理解しておきましょう。
まずは、日本企業が海外進出をするメリットを3つ紹介します。
マーケットの拡大
企業の海外進出においてマーケットを拡大できる点は大きなメリットです。成長市場に参入することで、新規顧客獲得や売上増加が見込めます。また、未成熟な市場であれば先行者利益も得られるでしょう。
また、マーケットを拡大することでグローバルブランドとしての企業価値向上や市場の分散によるリスク軽減といったメリットも期待できます。
人件費や原材料費などのコスト削減
日本よりも人件費や原材料費が安い国に進出することで、製造コストを大幅に削減できる可能性があります。
90年代後半から日系メーカーの中国への生産拠点の移転が急速に進んでいましたが、現在は東南アジアに生産拠点を移転する企業が増えています。近年、中国の人件費が上がっているためですが、東南アジアも国によっては人件費が上がっているので、進出先は慎重に検討する必要があるでしょう。
経済特区による節税効果
経済発展を目指しているマレーシア、カンボジア、インドネシアなどの国では、経済特区が設けられており、日本企業にとって有利な税制になっていることがあります。
また、日本の法人税率は約30%なのに対し、タイ、カンボジア、台湾などの国では法人税率は約20%なので税制上のメリットが高いといえるでしょう。(2024年現在)
他にも、外資誘致のための優遇制度が導入されている国は多いので、うまく活用することで高い節税効果が得られます。
海外進出のデメリット
海外進出にはデメリットもあるので注意が必要です。
海外進出における3つのデメリットについて紹介します。
初期費用がかかる
日本国内で事業展開する場合と比べると、海外進出は初期費用が高くなってしまうデメリットがあります。会社設立にかかる費用だけでなく、市場調査のための費用も考えなくてはいけません。
日本で成功している商品やサービスであっても、国によって商習慣や顧客ニーズが異なるので、ローカライズが必要な場合があります。海外進出に失敗してしまう企業も少なくないので、念入りな現地調査や戦略の設計などの準備が大切です。
必要な準備は多岐にわたるため、時間もお金もかかることを考慮して海外進出を検討しましょう。
マネジメントコストがかかる
企業の海外進出で課題になることが多いのが、マネジメント人材の不足です。グローバルで活躍できる人材には、経営に関する知識経験だけでなく、外国語でコミュニケーションするスキルや文化の異なる人材をマネジメントできる高いリーダーシップ能力が必要になります。
自社で海外拠点を任せられる人材を育成するにしても、新たに採用するにしても、高い採用/育成コストがかかってしまいます。また、日本本社と海外拠点とのコミュニケーションコストなど目に見えないコストも考慮して海外進出を検討する必要があるでしょう。
法規制や政治状況など把握すべき内容が多岐にわたる
海外進出にあたって、現地の法規制や政治状況、経済情勢など把握すべき内容は多岐にわたります。日本では考えられないような政治的混乱に巻き込まれたり、日本とは異なる法規制に戸惑ってしまうこともあるでしょう。
インターネットでは収集できないような情報もあるので、現地での情報収集が大切です。現地にネットワークがない場合はこれらの情報がつかみにくいというデメリットがあります。
海外進出に必要な6つのステップ
海外進出に必要な手順は以下の6つのステップに集約されます。
海外進出で失敗しないためにも、丁寧に手順を踏むことが必要です。
①海外進出の目的を明確にする
海外進出の目的は、新規顧客の開拓や生産コストの削減など企業によって異なります。海外進出のメリットは大きい一方で、初期費用やマネジメントコストもかかるので、見合ったリターンが見込めるのか慎重に検討する必要があります。
海外進出にあたり、人材や予算の確保などの準備もかかせません。
②海外進出する国を選定する
海外進出において国の選定は重要なポイントです。海外進出の目的が新規顧客開拓であれば、商品やサービスとの相性の良さ、生産コスト削減が目的であれば人件費や原材料費が安い国が選択肢にあがるでしょう。
特に、生産コスト削減が目的の企業には、マレーシア、カンボジア、インドネシアなどの経済特区が設けられている国がよく選ばれています。
③進出方法(進出形態)を検討する
海外進出する国によって異なりますが、一般的な進出形態は「駐在員事務所」「海外支店」「海外子会社」の3つです。商品やサービスを海外で販売することが目的であれば、現地に拠点を設けない「販売代理店の活用」という選択肢もあります。
法人格である海外子会社を選ぶ企業が最も多いですが、国によっては外資規制をとっている場合もあるため、慎重に進出形態を決める必要があります。
④海外進出支援制度の利用を検討する
進出する国が決まったら、大使館やジェトロへ相談するのがおすすめです。海外視察や海外での販路拡大など各フェーズに合わせた支援制度があるので、積極的に活用するようにしましょう。
JICAの「普及・実証・ビジネス化事業」や東京都の「海外展開支援」などの補助金や助成金の積極的な利用もおすすめです。
海外進出に使える補助金や助成金についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【2025年最新】海外進出を支援する補助金・助成金ガイド | 一覧やおすすめを紹介!
⑤現地視察・事業化調査を実施する
海外進出の最終決定をするまえに、現地視察などを通じて事業化が現実的かどうかを確認しましょう。現地の事情を正しく把握するためには、現地視察を行うのが一番です。
特に、販路拡大を目的に海外進出を検討している企業はテストマーケティングなどを通じて、現地での需要を把握しておく必要があります。事業化調査を見誤って海外進出に失敗してしまう企業も多いので、海外進出支援を専門としているコンサル会社に依頼するのも一つの手でしょう。
⑥海外現地への会社設立(法人登記)
日本で会社を設立するのと同様に、海外でも会社設立のための様々な手続きが必要になります。日本の法人登記はそれほど複雑ではないので、自社で手続きを行う中小企業も多いですが、海外の場合は国によってルールが異なるので、専門家に依頼するのがおすすめです。
なお、③で示したように様々な進出形態があり、形態ごとに必要な手続きが異なるので注意が必要です。
海外進出に成功した有名企業の事例3選
海外進出に成功した有名企業の事例を3つ紹介します。それぞれの企業が海外進出した理由や成功要因を解説するので、ぜひ参考にしてください。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、1986年に海外進出し、今では5年連続で世界販売台数1位になっている有名企業です。トヨタの海外進出の理由は、海外での販路拡大や生産コストの削減だけでなく、海外に工場を建てることによる、地域の経済発展が目的と言われています。
また、北米で立ち上げたレクサスブランドは、高級車ブランドとしての認知が広まり、日本にも逆輸入されています。グローバルなブランディングが成功している好事例と言えるでしょう。
株式会社ファミリーマート
株式会社ファミリーマートは、1988年に海外進出を開始し、今では国内外に2万店以上の店舗数まで拡大しています。ジェトロのインタビューによると、日本市場の飽和状態による新たな企業の成長戦略として海外展開を行ったと言われています。
ファミリーマートは、原則現地事業者との合併という形で海外進出をしており、ヒト・モノ・カネなどをできる限りローカライズしていくという方針をとっています。うまく日本のノウハウと現地化を両立した好事例と言えるでしょう。
株式会社ファーストリテイリング(ユニクロ)
ユニクロは、今ではアパレルメーカーとして世界3位の売上高を誇る企業ですが、一度海外進出に失敗した企業としても知られています。2001年に進出したロンドンでは、巨額の赤字を計上してしまい一度撤退した過去があります。失敗をした主な原因は、イギリスの保守的な文化とユニクロの企業風土が合わず、風通しの悪い組織になってしまったことが大きいと言われています。
事業性だけでなく、その国の文化や宗教なども念入りにリサーチする必要があることを示してくれる好事例と言えるでしょう。
海外進出に関するよくある質問
海外進出コンサルタントとは?
海外進出コンサルタントとは、海外市場調査や現地での事業展開まで幅広くサポートするコンサルタントのことです。サポートの内容は、現地パートナー候補の選定やビジネス戦略の策定、会社設立手続き、法的・税務面のアドバイスなど多岐に渡ります。現地にツテがない場合でも、海外進出コンサルタントをうまく活用することで、スムーズに海外進出を行うことが可能になります。
海外進出の成功確率はどのくらい?
日本における海外進出の成功率は30~40%と言われています。約7割は海外進出に失敗してしまうので、慎重に検討する必要があります。
海外進出に失敗する主な理由は、現地パートナーとのトラブルです。特に、外資規制がある国への海外進出は経営権をめぐるトラブルを起こしやすいので注意しましょう。
日本の海外進出国はどこですか?
2023年の外務省のデータによると、日本企業の海外進出先として多い国は、1位中国、2位アメリカ、3位タイ、4位インド、5位韓国となっています。
大きな市場である中国やアメリカへ進出する企業は依然として多いですが、生産コストを抑えられるカンボジアやベトナムを進出先として選ぶ企業が増えています。
まとめ
今回は、海外進出のメリットとデメリットや海外進出に必要な6つのステップについて紹介しました。
海外進出は、マーケットの拡大やコスト削減などのメリットが大きい一方で、初期費用がかかったり、失敗してしまうリスクもあります。しっかりと市場リサーチを行い、事業化できそうか慎重に検討しましょう。
カンボジア進出を検討されている方は、リアグローバルの無料相談に問い合わせてみるのがおすすめです。「カンボジア進出で何から始めたらいいかわからない」「そもそもカンボジアに進出するかどうかで悩んでいる」など様々な疑問に対し、可能な限り対応させて頂きます。ぜひお気軽にご相談ください。