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東南アジア進出のメリット・デメリットとは?国別の魅力や企業一覧を紹介!

2025年7月5日

東南アジア

日本企業の海外進出や外国企業の日本進出など、近年グローバル化の動きが加速しています。特に、東南アジアは日本企業の海外進出先として高い人気があるエリアなので、進出を検討している企業は多いでしょう。

本記事では、東南アジアに進出するメリット・デメリットや国別の魅力について徹底解説します。また、実際に東南アジアに進出している企業例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

東南アジアに進出している日本企業一覧

東南アジアの日系企業拠点数2023年調査

参考:外務省 海外進出日系企業拠点数調査

外務省の「東南アジアの日系企業拠点数2023年調査」によると、2023年時点で東南アジアに進出している日系企業は15,807社です。東南アジアの中では、タイが進出先として最も多く、ベトナム、インドネシアと続きます。

各国に進出している日系企業は以下の通りです。

日系企業
タイトヨタ自動車・日産自動車・日立製作所・三菱電機・大林組・レンゴー 他
ベトナムキヤノン・DIC・富士フイルム・LIXIL・日清食品・NTTグループ 他
インドネシア資生堂・ユニクロ・丸亀製麺・ホンダ・グリコ・大塚製薬 他
マレーシアスギ薬局・ノジマ・味の素・すかいらーく・アース製薬・蔦屋書店 他
フィリピンKDDI・パーソル・SEIKO・牛角・村田製作所・三菱地所 他
シンガポール横河電機・中外製薬・武田薬品工業・三井物産・ブリヂストン 他
ミャンマーイオン・JCB・デンソー・富士通・学研 他
カンボジア三井住友銀行・スワニー・マサカツ鋼材・日光金属 他
ラオス三光工務店・全日本武道具・エポック社 他
ブルネイハリーズ 他

上記はほんの一部であり、年々日系企業の東南アジア進出数は増えています。また、大手企業だけでなく、スタートアップ企業の進出数が増えているのが近年の特徴です。

日本が東南アジア(ASEAN)に進出する理由

なぜ日本が東南アジアに進出するのか、主な理由は経済成長率の高さと外資規制の緩和の2つです。

1980年代に円高の影響を受けて多くの日系製造業が東南アジアに進出した歴史があり、古くから進出先として東南アジアが選ばれています。

日本が東南アジアに進出する理由を詳しく解説していきます。

高い経済成長率と安い人件費

東南アジア全体の2024年の経済成長率は約4.6%です。ヨーロッパやアメリカではマイナス成長の中、東南アジアは高い経済成長率を誇っています。高い経済成長率は、消費行動が盛んであることを示しており、先行者利益を得られる可能性も秘めています。

また、日本では少子高齢化が加速し若い働き手が減る一方で、東南アジアでは若い労働人口が多く、人件費が安い傾向があります。そのため、製造業やサービス業など幅広い業種の東南アジア進出が進んでいます。

参考:東南アジアの経済成長|ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ

外資規制の緩和

海外進出において注意したい項目に外資規制がありますが、東南アジアは参入障壁が低い国が多いです。国内の市場(企業)を守るために、外資(他国の企業)の参入には制限がかけられます。国によっては、「製造業の参入不可」「資本金の40%は現地資本を入れないといけない」などの規制があります。

一方で、東南アジアでは外貨誘致政策を掲げている国もあるので、経済特区(税制上の優遇措置)の設置や100%日本資本で会社を設立することも可能です。

国によって外資規制が異なる点には注意が必要ですが、参入障壁の低さは東南アジアが進出国として選ばれる理由の一つです。

東南アジア進出国別のメリット・デメリット

東南アジア

ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国の10か国のうち、進出している日本企業が多い順に、各国の進出におけるメリット・デメリットを紹介します。

一概に東南アジアと言っても、それぞれの地域性や規制によって参入ハードルが異なります。東南アジア進出を検討している場合は、違いを押さえて適切な国に進出しましょう。

タイ進出のメリットとデメリット

日本企業のタイ進出へのメリットは、安定した物流環境です。タイは東南アジアの中心に位置しており、周辺国や世界各国を繋ぐ「ハブ」の機能を果たしています。

特に、2014年に南部経済回廊(ベトナムからミャンマーまでを結ぶ陸路)が整備されてからは、物流拠点としての価値が高まっています。

一方で、タイ進出のデメリットは、税制の複雑さや給与水準の高さです。タイでは複数の税制が存在し、慣れていない日本人が対応するのに苦労するケースは多々あります。

また、タイでは高齢化と人口減少が進んでおり、他国と比べて豊富な労働力はあまり期待できません。給与水準も東南アジアの中では高く、首都バンコクでは平均年収約200万円となっています。

高い人気を誇るタイ進出ですが、業種やビジネスの形態によって海外進出の恩恵を受けられない可能性があるので注意が必要です。

ベトナム進出のメリットとデメリット

日本企業がベトナムに進出するメリットは、豊富な若い労働力と低い雇用コストです。ベトナム人の平均年齢は32歳と若く、労働力として期待できます。平均年収は約50万円と非常に安価なので、製造業など固定費が大きいビジネスは恩恵を受けやすいでしょう。

ベトナムは勤勉な国民性でITリテラシーに長けている人も多いので、労働者の質の高さが進出しやすい理由になっています。

一方で、離職率は高く、公用語が英語ではないので、英語が話せない人も一定数います。20代のベトナム人の4人に1人は3回以上転職経験があるというデータもあるので、人材の定着率には注意が必要です。

雇用コストが安くても、育成コストがかかるケースがあるので慎重に検討しましょう。

参考:ベトナムの平均年齢推移(1950年-2023年)と2100までの平均年齢予想推移

インドネシア進出のメリットとデメリット

インドネシア進出のメリットは、インドネシア人の国民性と豊富な資源です。インドネシアは「世界最大の親日国」と言われています。その背景にはインドネシアがオランダの植民地だった1940年代、オランダ軍がインドネシアを侵攻した際に、日本軍の加勢によって独立を果たした歴史があります。マネジメントや商談においても、進めやすさを感じることがあるかもしれません。

また、再生可能エネルギーや森林、鉱物など資源が豊富なので、資源を活かしたビジネスの拠点としても注目されています。

インドネシア進出のデメリットは、厳格な労働法と宗教の違いです。東南アジアの他の国と比べて、労働者保護の傾向が強い法律が整備されています。正社員として採用したら解雇を認めないなど、日本企業が苦労する場面もあります。

また、国民の大半がイスラム教徒であるため、「ハラール認証」をとらないとビジネスを進められません。ハラール認証とは、イスラム教で禁じられるものが製品やサービスに含まれていないことを示す認証です。食品業界でなくても、化粧品業界や製造業界の企業も意識しなければいけません。

マレーシア進出のメリットとデメリット

マレーシア進出のメリットは、英語を話せる人口が多い点と参入障壁が比較的低い点です。多国籍な国なので、バイリンガルの人材も一定数います。イスラム教徒が多い国ではありますが、人口の6割程度なので、ハラール認証のハードルも低いです。

マレーシア進出で気をつけるべきポイントは、マレー人優遇政策という歴史的背景についてです。マレーシアは移民が多く、人種が多様化しているからこそ、マレー人の権威を保護する動きがあります。

マネジメントや商談の場面でも、このような文化や風潮が影響する可能性があるので、注意が必要です。

フィリピン進出のメリットとデメリット

フィリピン進出のメリットは、英語が公用語である点と豊富な労働力です。インドネシアやマレーシアでも英語は使われるものの、あくまで共通語です。

フィリピンにおいて英語は公用語なので、英語を話せる人口は非常に多くビジネス英語も問題ありません。通訳を挟まないコミュニケーションが可能なので、意思疎通のしやすさや安心感があります。

一方でデメリットは、行政手続きの煩雑さと物流インフラの脆弱さです。フィリピンで会社を設立する場合、法人登記や営業許可取得に数か月を要します。フィリピンの制度について詳しい人がいないと厳しいでしょう。

また、物流インフラが整っていないため、渋滞や事故が多発しています。不安定な物流によって、円滑にビジネスが進まないケースもあるので注意が必要です。

シンガポール進出のメリットとデメリット

シンガポールは、東南アジアの中でもビジネスをしやすい国として注目されています。日本とシンガポールは自由貿易協定(FTA)を結んでいるため、モノや情報・資本の移動が盛んです。法人税率が17%と、他の国と比べて低いのも参入しやすい理由の1つです。

また、英語が公用語であり、生活環境も整っているので、日本人にとって住みやすい国と言えるでしょう。

シンガポール進出のデメリットは、住宅費用が高い点です。東南アジアでの生活は費用を抑えられそうなイメージですが、住宅費用をはじめ東南アジアの中では物価が高い国です。

法人税率などビジネスにかかる費用だけでなく、駐在員の生活費なども念頭において進出先として適切か判断しましょう。

カンボジア進出のメリットとデメリット

カンボジア進出のメリットは、高い経済成長率と若年層人口の多さです。カンボジアの経済成長率は1990年代以降、平均約7%程度と非常に高い水準で推移しています。

海外進出をする上で考慮する必要がある外資規制が比較的緩く、ベトナムとタイに挟まれた立地的な要因からも進出先として近年注目されています。東南アジアの国々の人件費は年々上昇していますが、カンボジアは特に安価で人材を雇用できる国です。

一方で、発展途上であるため、「マーケットが育っていない」「インフラの整備が追いついていない」といった側面もあります。また、他の東南アジアの国と比べると日本企業の進出事例はまだ少ないです。

十分なリサーチをおこなったうえで、進出を検討するようにしましょう。

まとめ

今回は、東南アジアに進出するメリット・デメリットや国別の魅力について解説しました。国によってそれぞれメリットとデメリットがあり、企業によって選ぶべき進出先が異なります。事業性の調査だけでなく、文化や宗教、歴史的背景など様々な観点から自社に合った進出先を検討しましょう。

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